イーサリアムはビットコインの次に時価総額が大きい仮想通貨です。ビットコインの時価総額が約7,000億円であるのに対しイーサリアムは約830億円と言われています。
一見すると時価総額の比較にならないように見えますが実質的には仮想通貨全体の時価総額合計が約8,640億円の中で両方の仮想通貨が全体の9割を占めています。
ここではビットコインの次に注目されている仮想通貨イーサリアムについて詳しくご紹介します。
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イーサリアムの特徴
イーサリアムが他の仮想通貨と何が違うのか?まずはその特徴を簡単に解説します。
契約・財産を非集権型で取引可能
ビットコインは仮想通貨の先駆けとして存在しており、仮想通貨世代の中でも1.0世代と言われています。
1.0世代のビットコインはコインを瞬間的に交換することが可能ですが、2.0世代であるイーサリアムは交換だけでなく付加価値が付けられているのが大きな特徴です。
イーサリアムの付加価値とは「契約」と称され「スマートコントラクト(賢い契約)」と呼ばれています。
スマートコントラクトはインターネット上で契約を実行・保存していく機能を持ちます。そしてビットコインのブロックチェーン※1技術をお金以外で応用したものがイーサリアムのスマートコントラクトです。
例えばこのスマートコントラクトを使うと、A氏からB氏に50万円を2016年7月30日に送金するという契約が自動的に実行されます。さらに契約が実行されるとともに契約が実行されたことを保存することができます。
一旦過去に交わされた契約があれば半永久的にネットワーク上で保存することができます。契約の経緯や権利の移行といった履歴をすべて保存することができることで、インターネット上に信用情報が蓄積されていきます。
これは株式・債権・信託・電子的コンテンツ授受といったことに利用できるところが大きく進歩したと言われています。このように契約や財産を中央機関なしに自動執行できるところがイーサリアムの大きな特徴です。
イーサリアムの仕組み
イーサリアムはビットコインのブロックチェーンの仕組みを利用していますがビットコインの弱点をカバーし、機能拡張したものです。
ビットコインは仮想通貨創世記の通貨として今でこそ価値がありますが、基本的にはコインの移転しか記述できません。今はどのようなトランザクション(処理されたか否かという意味)なのかを記述することはできます。
イーサリアムはこのトランザクションの遷移をプログラム記述できるように開発されました。遷移を記述できるようになったことでデジタル資産を作る、移転の為のルールを記述する「スマートコントラクト」が可能になったというわけです。
イーサリアムのスマートコントラクトはどう活用できる?
わかりやすく言うとイーサリアムは遷移の記述が可能になったことで、金・株式・証券・既存通貨といったあらゆる資産と紐づけして、色々な資産移転の為のプラットフォームとして活用できるようになりました。
ブロックチェーンの仕組みは中央管理を行うシステムではありません。多くの参加者が元帳を分散して管理するという仕組みなのですべての参加者のコンピューターを破壊しないとシステムは停止しません。
この特徴は今後様々な法的登記、年金記録、所有者登録などの記録として活用が見込まれています。
イーサリアムはデータ活用できる?
さらにイーサリアムは分散型アプリケーション(同時並行的に複数のコンピューター上でプログラムが実行されネットワークを介して通信しながら処理する方法。
一台のPCで計算させるより複数を使うことで効率よく処理する)のプラットフォームとしての利用も考えられています。
色々なプログラム(つまり登記や年金記録などの処理)を記帳し、それらを指示通り動かすためのプラットフォームとして利用するのです。
現実にIBMはイーサリアムをモノのインターネット(Watson IoTプラットフォーム)データに活用(※2)するプロジェクトを2016年2月に発表しました。
例えば荷物が複数関係者の間で移動するときどの関係者でも荷物情報がすぐわかり、契約条件が履行されているかどうかがわかるような仕組みです。今後このような契約履行や業務の中でイーサリアムのプラットフォームが活用される可能性がますます高くなるでしょう。
このようにイーサリアムは仮想通貨としての価値だけでなく、新たなプラットフォームとしても活用される兆しがあります。
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イーサリアムの価格推移を検証!まだまだ上がる?
イーサリアムは2013年にイーサリアムプロジェクトとして発足しました。
仮想通貨の名前として理解されていますが、アプリケーションやプラットフォーム・オープンソースなど全部を含めた総称を指します。
イーサリアムプロジェクトは2014年に全世界から資金調達を行い、2015年7月に正式リリースされました。2014年当時の1ETH(イーサ)は26円、2015年公開では120円です。以下のチャートはイーサリアムの1年の価格の推移です。
イーサリアムの価格遷移
2016年1月 1ETH=0.006BTC 275円
2016年2月 1ETH=0.015BTC 687円
2016年3月 1ETH=0.037BTC(前年末比約12倍の上昇)1,696円
2016年6月1ETH=0.018BTC 1,258円
仮想通貨はリリース直後高騰するイメージがありますが、実際イーサリアムはリリース直後下降相場からスタートしました。途中赤い丸の部分で一気に高騰しましたが上昇した理由をこのように考えます。
☑開発に関わるプラットフォームが適宜刷新される
☑金融機関での利用の表明(または企業による利用の表明)
☑イーサリアムの安定版とされる「ホームステッド」の存在
開発元のイギリスでは2016年3月にイーサリアム時価総額が9億ドル超えになり、専用ATMも登場しました。この時、時価総額はビットコインの10分の一になりました。
たった1日で10%も時価総額が上昇した要因はイーサリアムコミュニティが、ビットコインATMを再利用して現金とETHを交換できるようにするソリューションを作成したと発表したからです(安定板ホームステッドの登場)。
またこのソリューションを改良してATM自体から直接スマートコントラクトにアクセスする方法なども提案し、市場での期待感が上昇を招いたということでしょう。これはイーサリアムの安定版とされる「ホームステッド」の登場で、今後多くのプロジェクトがイーサリアムを利用しアプリケーションを開発すると考えられたからです。
このETHの高騰により資金難問題もひとまず落ち着いたのでイーサリアムの未来は明るいと予想されます。できたばかりの仮想通貨ですが短期間の価格の推移を見ると上昇の波に一度のると他の仮想通貨より伸び率が大きいようです。
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イーサリアム今後の動き
今後多くのデベロッパーや企業が、イーサリアムの安定板ホームステッドを使って、様々なアプリケーションの開発をすると言われています。
Web3.0環境になるといくつかの大きなアプリケーションの追加が予定されている発表しています。ETHの高騰により資金繰りが改善されたことでこれから5年程度は開発資金に不自由しないとも言われています。今後もイーサリアムは期待できる仮想通貨です。
イーサリアムのウォレットでおすすめのアプリは?
公式サポートされているものは現在コマンドラインツールの「geth」というものがあります。ただしコマンドベースでインストールにかなり時間がかかるのでお勧めできません。
またこれ以外のツールは第三者が提供しているケースが多いので安全性の確約ができません。一方アプリベースではkryptokitから ビットコインとイーサリアム両方を管理できるウォレットアプリが発表さてれています。
Jaxx Bitcoin & Ethereum Wallet
kryptokitのウォレットはビットコインも使いやすいアプリでした。現在アンドロイド版とiOS版(9.0以降)があります。
起動すると一番上にビットコインとイーサリアムの切り替えボタンがあり、その下に受取と送金ボタン、その下に相手先のウォレットアドレスとamount(金額)を入力する仕組みです。非常に使いやすいシンプルな仕組みになっています。
イーサリアムはウォレットアプリを使うのも良いでしょうが、少額ならツールよりは取引所に置いておいても安全性は高いでしょう。
取引所ごとにウォレットが存在し(入出金明細が見られるサイト)、安全性を考えて自分のコンピューター内にウォレットを設置して保存するのもいいでしょうが、不安ならビットコインに換金してビットコインのウオレットに保存するという方法もあります。
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イーサリアムのマイニングについて分かりやすく解説します
マイニングとは採掘という意味です。採掘は新たにコインを生成するだけでなく、採掘することで取引手数料を報酬として入手する方法です。実際にはコンピューターに計算させることで新たにコインを生成します。採掘する人をマイナーと呼び、実際はシングルで採掘するよりグループで採掘するパターンがほとんどです。
イーサリアムをマイニング(採掘)するには専用のGPU(+CPU)を使って行います。公式に推奨されているクライアントは「Geth」というユニックスベースのものです。Windowsでも利用が可能ということですが実際は非常にCPUを使います。
そのため一般家庭(一般的なPC)でイーサリアムクライアントを利用するのはかなり厳しいでしょう。
それをカバーしたサービスが「Genesis Mining」というサービスです。これは日本語に対応しているだけでなく1年契約でマイニングに使用できるCPU速度単位でレンタルすることが可能です。
このサービス2016年度現在で1MH/sあたり37ドル(3種類の価格設定があります)になっています(MH/s※3はハッシュレートと呼ばれる単位を使っています。ハッシュレートは採掘速度を示すものです)。
イーサリアムの採掘(マイニング)による利益は?
マイニングによる利益は採掘できるイーサリアムの量とイーサリアムの値上がり率によって変わります。
つまりマイニングのために使うプラットフォーム(CPUなど)にかかる費用を超えた採掘量とそのときのイーサリアムの時価総額(もしくは取引価格)が上昇しているなら投資価値があると言えるでしょう。
ただしイーサリアムはビットコインの次を担うコインとして企業やグループがマイニングに参加しているので、個人単位で利益を上げるのはかなり難しいと言えます。当然、採掘量は決まっているので日に日に採掘できるイーサリアムの量は減少する可能性があります。
一般の方でもご興味があればこのようなサービスを利用することで利益を上げることも可能でしょうが、無難な投資を考えるなら取引所で投資をされたほうがいいかもしれません。
マイニングをする場合はこれから値上がりが期待できる通貨を狙うのもいいでしょう。現状イーサリアムはビットコインに次いでかなり値上がりしています。投資対象としてマイニングを選ぶなら、よく考えてから行うことをお勧めします。
イーサリアムの取引所一覧まとめ
イーサリアムを簡単に手に入れるには取引所を利用するのが一番です。また取引所もドル建てやユーロ建てなど色々なタイプがありますが、そこは日本円で取引できる取引所が一番いいでしょう。
取引所を選ぶ目安は流動性があるか、サービスが信頼できるかということです。
利用者にとって有利な価格で約定するためには流動性が重要です。そして実際にお金を投資するなら安全に管理してもらえるサービスを選ぶ必要があります。また日本円で直接購入する方法、ビットコインを送りETH/BTCとしてトレードする方法があります。
主な取引所
取引所名 | 日本語対応 | 取引 | 特徴 |
Poloniex | なし | ETH/BTC | 取引所として利用。取引に理解がある人向け |
coincheck | あり | ETH/BTC | 現金だけでなくクレジットカード取引可能 |
Kraken | あり | ETH/BTC | セキュリティが高い、取引通貨の種類が多い |
BITPoint | あり | ETH/BTC | 信託保全スキーム(顧客資産の分別管理)を導入 |
一番多い取引量はPoloniex、次にKrakenです。特にKrakenは日本語サイトが用意されているのでわかりやすいでしょう。
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初心者向け!イーサリアムの購入方法買い方ガイド
イーサリアムは上記の取引所での案内の通り一旦ビットコイン建てにして購入します。サイトによってはドル建てでも可能です。
日本の取引所から購入する場合はまず日本円をビットコインにして両替所を利用します。最近では多くの取引所が存在している(上記の表をご覧ください)ので一番多い購入方法をご紹介しましょう。
(2)取引所によって円からビットコインに換金します。そのときの換金できる金額は取引所によって変わります(最低金額はいくらからというような表示がでます)。
(3)ビットコインからイーサリアムに取引量に応じて交換します。
このような方法でイーサリアムを購入することが可能です。これを1つの取引所で行うか、複数の取引所で行うかは選択次第ですが、どのように違いがいあるのか説明します。
bitFlyerでビットコインを購入し、Krakenでイーサリアムを購入するのがベスト?
ビットコイン大手取引所であるbitFlyerでBTC(ビットコイン)を購入し、Kraken(イーサリアム取引量が多いと言われています)でイーサリアムを購入する方法です。
お互いの取引所の得意な通貨を購入して交換するという方法です。もちろんKrakenだけですべてを済ますことも可能です。
またKrakenは円で直接購入することも可能で、円を入金する場合は身分証明などの審査資料が必要です。
既にbitFlyerでBTCを購入しておけばこのような手間がいらず、仮想コインの入金と出金だけならアカウント登録後に氏名・生年月日・居住国・電話番号などの登録だけで取引が可能になります。
取引量が多いという理由からKraken取引所で購入しようとすると、認証レベルというものが邪魔をします。特にKrakenでは認証レベル0~4まであり、そのレベルによって自国の通貨を使えるレベル、入手金レベルの増額などが決まります。
つまりセキュリティ精度が高いのは良いのですがいきなり日本円を使うことができにくいというデメリットがあります。
そのために初心者ならbitFlyerでビットコインを購入し、同取引所でイーサリアムに交換するという方法がいいでしょう。
逆に換金する場合はETH/BTC市場でイーサリアムを一旦売り、ビットコイン建てにしてからBTC/JPY市場でビットコインを売ります。ETH/JPYという表示があっても現在では一旦BTC/JPYとしてそこからイーサリアムに交換する方法が一番多い方法です。
取引所でイーサリアムの扱いがあっても実際に口座を作るとビットコインを購入することから始めるのはそのような理由からです。
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イーサリアムはマイクロソフトと提携してどうなる?
リップルコインがGoogleと提携したというニュースがありましたが、2015年にイーサリアムはマイクロソフトとパートナーシップを締結しています。
これはマイクロソフトのビジネス向けクラウドサービスAZURE(アジュール)上でスマートコントラクトを実装するためにイーサリアムと提携しました。
AZUREのサービスを向上させるための契約ですが、以前マイクロソフトはビットペイ経由でビットコインと提携していました。
マイクロソフトはBtoBの顧客層である銀行・保険会社をはじめとするあらゆる業界がターゲットです。イーサリアムの機能を利用することでこれまでにないサービスを提供するのが目的です。
株・証券・電子コンテンツ・モノの流通(実際のリアルな商取引)も含めてあらゆる取引が自動的に実行され、仲介業者が必要なくなる可能性があります。この発表当時、マイクロソフトは株価が急上昇するといううれしいハプニングもありました。
それは減収増益を発表したばかりで、このときの株価は16年前のITバブル依頼の最高水準を達成し、時価総額290億ドルとなり米国第三位となりました。
この発表はマイクロソフトにだけ良い影響をもたらしただけでなくイーサリアム側にも大きなチャンスになりました。
現在ではETHが市場で大きく伸びて上昇しましたが、イーサリアムにとっても2015年のこの提携はメジャーになるチャンスでした。その前にIBMがイーサリアムの技術を使うという発表もあり、イーサリアムにとって追い風となりました。
マイクロソフトのスポンサードで価格上昇が決定的になったと言えます。AZUREを利用するユーザー企業はオンデマンドでイーサリアムの機能を利用することが可能になり、マイクロソフトは分散型アプリケーションの構築が容易になります(実際はマイクロソフトがプラットフォームの提供をし、ベンダー企業が開発します)。
イーサリアムはマイクロソフトと提携したことで今後金融・証券・銀行といったメジャーな業界でスタンダードな技術として使われる可能性が高いと言えるでしょう。